大海原を勢いよく航海するがごとく成長する企業の本社ビル

2017年に開港150周年を迎えた神戸港の記念事業として、新たな魅力と活力ある都市・ウォーターフロントの創出に向けた新港突堤西地区再開発の地区内での計画である。当敷地の東西両隣には再開発地区全体のデザインコンセプトで「双胴船」に見立てたタワーマンションが計画されている。
ジーライオングループは高級輸入車販売を中心に多種多様な事業を展開している神戸の企業であり、1986年の創業から急成長し続けている。その勢いのあるジーライオングループの新本社ビルは、再開発地区の「双胴船」の船首部分となり、神戸港から波を切り、大海原へ航海する様をジーライオングループの勢いと重ね合わせデザインした。
オフィスは神戸港で最も美しい風景であるポートアイランドからメリケンパーク・ハーバーランド方面を望む南・西面に大きく開口を設けている。室内環境に特に影響を与える西日に対しては、欧州では多くの建物に採用されている外付けブラインドを設けており、太陽光追尾により自動で開閉させオフィス内環境の向上に寄与している。 また、各階に設けた水平方向の伸びやかな庇は日除けの他、単調になりがちなオフィスビルのファサードに陰影をつくり深みのある表情にするとともに、勢いよく大海原を航海する船の船首がつくる弧を描く波-船首波を表現したデザインとした。今後も勢いよく航海し、同社が成長し続けることを願う。