ウエルガーデン春日部

成熟した緑と桜並木に寄り添うデザイン

埼玉県春日部市に建つ100 床の特別養護老人ホーム。かつて国の保養所だった敷地に、長い年月を経て成熟した豊かな緑と立派な桜並木が立ち並んでいた。土地の記憶を継承すべく、その環境に寄り添って建つ建築を目指した。 既存の桜並木を保存し、建物ボリュームは極力コンパクトに設定。ワンフロアに4ユニットを田の字型に組むオーソドックスな形式をとりながら、スタッフの介護動線も考慮。 使い勝手に配慮した合理的なプランニングをする一方で、バルコニーは桜並木を意識した弧を描くデザインを施した。桜並木を優しく包むように半径260mのカーブとすることで、両端に奥行き約2.75mの広さを確保するスペースを創出し、季節の良い時期には、入居者やスタッフが積極的に外に出て桜を楽しんでいただける空間を実現した。 大きく張り出したそのバルコニーの根元には、構造部材も兼ねたバットレスを桜の樹形のごとくデザインし、木目柄の塗装を施した。熱線反射ガラスを用いた手摺には、対面の桜が鮮明に映り込むような工夫をしている。この場所が入居者のみならず、地域住民にも愛される桜の名所になれば幸いである。

ウエルガーデン春日部

  • 地域:埼玉県春日部市
  • 延床面積:4189.98m2
  • 竣工:2018年1月
  • 建物用途:特別養護老人ホーム
  • 構造:鉄筋コンクリート造
  • 戸数:100床
  • 規模:地上3階