建築とランドスケープが融合した フラッグシップとなる老人ホーム
多摩川沿いの自然豊かな高級住宅街に建つ78室の介護型有料老人ホームである。 立地特性とハイエンドなターゲット設定から、風致地区として指定されている多摩川沿いの良好な自然景観への調和と、住友林業グループが運営する介護施設【グランフォレスト】のフラッグシップとなるような建築的設えの両立が求められた。 外観デザインは、老人ホーム特有のバルコニーが周回する単調なファサードパターンを払拭しながらフラッグシップとしての品格を出すための解決案としてアルミを基材とする木調のルーバーで水平ラインを強調したデザインを施した。 多摩川沿いの地形のコンターラインをミルフィーユのように積層させたイメージのボリュームに対して、風致地区による建蔽率、壁面後退、日影規制の制限により生まれた空地や屋上スペースに立体的な緑化を行い、豊かな自然景観や高低差のある地形に調和するように建っている。緑豊かな中庭は様々な樹種、樹形、高さの樹木を組み合わせ、隣地の桜の高木を借景に取り込みながら自然に近い姿の庭とした。ダイニングには2面の大きな開口、ラウンジには2層のガラスの吹き抜けを設けることで中庭と一体となり、建物内にいながら緑に囲まれた自然の中に佇んでいるように感じられる空間とした。建築とランドスケープが一体となり、自然景観に溶け込みながら施設が街に開いていくことを期待している。