当社のホテル設計は、リゾートホテルのリゾナーレビブレクラブ小淵沢から始まり、デベロッパーと進めたホテルクレガ天神、さらに普及型のビジネスホテルへから外資系ホテルへと広がり、社会情勢や利用者のニーズに合わせて提案を重ねてきました。
住空間の知見を礎に、地域性と国際性を融合。
ホテル設計の歩みと、次代への挑戦
当社のホテル設計は、リゾートホテルのリゾナーレビブレクラブ小淵沢から始まり、デベロッパーと進めたホテルクレガ天神、さらに普及型のビジネスホテルへから外資系ホテルへと広がり、社会情勢や利用者のニーズに合わせて提案を重ねてきました。
近年は外資系ホテルのプロジェクトも増加しており、海外利用者の価値観や滞在体験を意識しつつ、同時に国内利用者に受け入れられるよう、両立したデザインを考えています。
外資系ホテルの設計を経験できたことは大きかったと思います。日本のデベロッパーとは異なり、サービスやホスピタリティーを前提にした施設計画が求められるので、建築の考え方も変わってきます。
当社は集合住宅設計を得意としており、人に寄り添うノウハウはホテルにも生きています。
人が滞在し、居心地の良さを感じる空間をつくるという点では住宅とホテルは共通しています。コストや法規制等の厳しい条件の中で、地域性や日本らしさをどう表現するか、その挑戦はこれからも続いていくと思います。
the b 銀座は、クラシカルな街の歴史と、ハイブランドが並ぶ最先端の繁華街という二つの顔を持つ銀座に建つホテルです。そこで外観は「東西の融合」をコンセプトに、東洋的な斜め格子のルーバーと、石積みのような西洋的ファサードを組み合わせました。画一的なつくりにならないよう、窓の位置をあえてずらし、客室ごとに異なる表情を感じられるようにしています。
モクシー京都では、京都という場所性をどう表現するかを意識しました。外観は平安京の碁盤目や京都の通りをイメージした整然としたサッシ割と格子によって構成することで、京都の建築文化に寄り添ったデザインとしています。一方でブランドの特徴であるインダストリアルな質感も重要な要素として空間に落とし込みました。また、厳しい高さ規制のもと、地下空間を積極的に活用することでボリュームを確保し、複雑な断面構成を工夫したプロジェクトでした。
リゾナーレビブレクラブ小淵沢では、デザインをイタリアの建築家マリオ・ベリーニ氏が担当し、イタリア人スタッフたちとともに建築として具現化する役割を担いました。コンセプトは「山梨の森の中にイタリアの山岳都市をつくる」。敷地の起伏を生かしてプラザやガレリアを配し、プール棟には古代劇場を連想する大屋根を配し、豊かな街並みを再現しています。設計過程でベリーニ氏から「良いデザインは足すのではなく削ぎ落とすものだ」と教わったことが強く印象に残っています。
これまで住空間を多く手掛けてきた強みを活かし、ホテルにも新しい提案ができると思っています。単なる「泊まる場所」ではなく、人生の様々な場面を受け止める場所としてのホテル。私はそれを「人生ホテル」と呼びたい。誕生や子育て、教育等、人の人生を支える新しいカテゴリーの建築が生まれる可能性があると思っています。
基本的にはこれからも変わらないと考えています。地域の文化や場所性を丁寧に読み取り、それを空間として表現することです。一方で、近年は海外からの宿泊客を意識するあまり、日本文化を過度に強調したホテルも増えているように感じます。しかし、そうした演出に頼るのではなく、日常の延長のように自然で居心地の良い空間を提案していきたいと考えています。
ホテルは宿泊する人だけでなく、そこで働く人の存在も大切です。スタッフにも心地よく、長く愛される建物にしたい。近年当社が携わった、御堂筋に面して建つ大阪エクセルホテル東急などのように、街の象徴となるホテルやラグジュアリーブランドにも挑戦し、唯一無二の価値を持つ建築を生み出していきたいと思っています。