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#05 レジデンス

都市と暮らしの変化を読み解き、
価値を創出するレジデンス設計

  • 谷 賀博
    谷 賀博上席執行役員
    東京第三・第五事務所所長
  • 村岡 真雄
    村岡 真雄執行役員
    九州事務所所長

Question 近年の当社の集合住宅設計

谷 賀博
谷 賀博

集合住宅の設計を振り返ると、かつては「住むための箱」をつくる感覚が強かったように思います。しかしここ30年で機能や価値は大きく変わり、現在は都市との関係まで含めて設計する時代になってきました。

村岡 真雄
村岡 真雄

形態も大きく多様化しています。板状に加えて超高層、低層高級レジデンス、さらに再開発や複合開発へと広がっています。当社でも、レジデンスと他用途の複合施設の設計が増えてきています。

谷 賀博
谷 賀博

私が携わった中で印象に残っているのが、アクアリーナ川崎です。多摩川河川敷の一角を、優良建築物等整備事業として再生したプロジェクトで、まずスーパー堤防の整備から始め、インフラ・住宅・景観を一体で構築しました。3棟構成とすることで、風や視線の抜け、水辺の連続性を活かした配置とし、建物単体ではなく都市全体を設計する計画でした。

  • アクアリーナ川崎
    (アズリーノタワー/ロッソタワー/ヴェルデタワー)
    神奈川県川崎市 2008.11/2008.12/2009.1
村岡 真雄
村岡 真雄

3棟構成によって圧迫感を抑えつつ、景観や通風、採光にも配慮されている点が印象的です。免震構造等の安全性も含め、当時から多くの要素を取り込んだ計画だったと感じています。

谷 賀博
谷 賀博

特徴的だったのは、3棟にイタリア語で「青・緑・赤」の名前を付けた点です。これは光の三原色に由来しており、三つの色が重なり合うことで透明な光となる、いわば“三位一体”の考え方を表現しています。建物自体は白を基調としながら、周辺環境と調和しつつ全体で一つの景観をつくるという意図でした。

村岡 真雄
村岡 真雄

また、当社が数多く携わっている総合設計の超高層レジデンスでは、公開空地の創出によって都市にゆとりや賑わいを生み出すことができます。緑化や防災性の向上にも寄与し、建物単体にとどまらず、周辺環境の質を高める設計手法だと考えています。

谷 賀博
谷 賀博

東京では条件面の制約も多く容易ではありませんが、都市への貢献という点で総合設計は重要なアプローチだと感じます。

Question 集合住宅設計で求められること

村岡 真雄
村岡 真雄

現在求められているのは、多様な暮らしへの対応です。単身者、DINKS、ファミリー、高齢者等が混在する中で、可変性のある住戸が重要になっています。

谷 賀博
谷 賀博

用途を固定するのではなく、柔軟に使える「余白」のある空間が求められていることもあり、在宅ワークや子どものリビング学習等、生活様式の変化にも対応する必要があります。

村岡 真雄
村岡 真雄

コミュニティのあり方も変化しています。過度な関係でも完全な孤立でもない、中間的な距離感を設計することが重要です。

谷 賀博
谷 賀博

特に都市部ではプライバシー志向が強い一方で、必要に応じてつながれる仕組みが求められています。

村岡 真雄
村岡 真雄

環境性能も不可欠です。ZEH対応に加え、設備に頼らず自然を生かしたパッシブデザイン等、様々な対応が求められます。またIoTや、コロナ禍以降の非接触技術等、テクノロジーとの融合も進んできました。

谷 賀博
谷 賀博

災害を前提とした設計として、復旧しやすさや在宅避難への対応も求められています。加えて、所有から利用へと価値観も変わり、カーシェアを始めとした新しい生活スタイルへの対応等、時代に求められる設計とは何かを常に意識し、取り組んでいます。

Question 集合住宅の今後の展開と当社が目指す設計

谷 賀博
谷 賀博

今後は環境がさらに大きなテーマになります。特に東京では、「緑=資産価値」に直結し始め、単なる制約ではなく建物の価値を生む設計要素として捉える必要があります。

村岡 真雄
村岡 真雄

福岡でも市を挙げての立体緑化等、環境と共生する魅力ある都市づくりが進んでいますので、当社の設計がその役割を担えればと考えています。

谷 賀博
谷 賀博

さらに、スクラップ&ビルドから長寿命化への転換も進んでいます。

  • 公開空地緑化事例
村岡 真雄
村岡 真雄

躯体構造の耐久性向上により、改修を前提とした建築のあり方が主流になると考えられます。

谷 賀博
谷 賀博

木造建築や、素材のリサイクルも含め、環境との関係をどう設計に取り込むかが重要ですね。

村岡 真雄
村岡 真雄

集合住宅設計において大切なのは、住む人が安心して快適に暮らせる住まいをつくることです。その上で、デザインや配棟、空間の工夫等によって、当社にしかないプラスアルファの価値を生み出していきたいと考えています。

谷 賀博
谷 賀博

制度や基準は今後さらに厳しくなりますが、それを乗り越え、住む人や都市にとって価値のあるレジデンスを創り上げられるのが設計の面白いところです。これからも全社で積極的に取り組めればと思います。

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